「ごめんね、付き合わせちゃった」
「いいよ。でも、平気?」
うん、ってうなづけば、
タマちゃんはにこにこしてた。
あたしの分のカバンも持ってくれて、
そんで、
自販機であたしに、
わざわざジュースまで買ってきてくれた。
ごめんね、
ってもう一度言ったら、
「当たり前じゃん、親友だし」
って、タマちゃんは言った。
だけど、
そんなの、
本心じゃないんだって、
知ってる。
親友だよね?
―そうだよね?
そんな繰り返しに、
意味がないことも、
親友なんて言葉に、
たいして価値がないことも、
もう、あたしたちは、知っていた。
お互いの、
汚い部分を知っているだけ。
あたしが、
愛とか恋とか
運命を信じられないことだとか、
タマちゃんが、
彼氏以外の人を、
本気で愛していることを、
あたしが知っているから、
あたしたちは、たぶん、
一緒にいるんだと、思う。
楽だから、
―気を遣わずに、いられる気がするから。
でも、にこにこしてる
タマちゃんには、
そんなこと関係なさそうに見えて、
あたしは、少しだけ、泣いた。
「うん、親友だよね」
あたしが、もっと、
言葉の意味を信じられる
そんな子だったら、
―よかったのに。