「…しゃあねぇな、じゃあ、一年。ダチ連れて来い。
あ、それなりに仲のいいやつだけな?」
「ほんとですか!?じゃあ四人くらい連れてきます!」
なんだかんだで、
竜也は面倒見がいい。
そして、
こういう明るい性格だから、
年上にもウケがいい。
男女問わず、
友達は多くて、
あたしの知っている子は、
ほとんどが竜也絡みだった。
教室とは反対方向に走っていった、
尚紀くん。
きっと、
一年生の集まっている場所にでも
行ったんだろう。
「じゃああたしもいいわけね?」
「しゃあないじゃん。聞かれたんだし」
やったー!
と両手をあげて喜ぶ涼子。
それとは反対に、
あたしはため息をついた。
「チョコも行くよな?」
「あたし次抜けられない。タマちゃんも」
「は!?」
こくり、
タマちゃんもうなづく。
今日の三時間目、
うちのクラスでは、
國ちゃんの保健だった。
「國ちゃんの授業だし」
「あたしたちは出ますー」
ひらひらと手を振れば、
最悪ー!と涼子が叫んでた。
だけど、
涼子は、それでも行くらしい。
お土産買ってくるから、
みんなで屋上で食べよう!
そんなことを言っていた。
「…」
「お昼は皆で屋上行くから、ね?」
「…わかった」
拗ねたみたいな
竜也の顔を見れるのも
あたしの特権。
少なからず、
きっと、
あたしは彼に救われている、
そう、思う。
チャイムの音に、
教室のドアが、
あたしと、彼を、
遮断するように閉じる。
世界は、
どこか欠けたみたいに
いびつに見えた。