「チョコー」


朝から、
竜也は元気だった。


両手を広げて、
オレのチョコー!とか
教室の真ん中で、
あほみたいなことをやっていた。



昨日、
勝手に帰ったことを、
それなりに謝りたかったんだけど、

あたしを見るなり


「ちょーさみしかった!」


って笑った竜也には、
そんな言葉は、

あんまり意味がなかったかも。



「…いつにも増して元気だね」

「ん?あー兄貴のパチついてって儲けた!」


「マジ!?」



お金儲けのことになると、
きらりと瞳が輝いた。


それはあたしじゃなく、

そして、タマちゃんでもなく、



ちょうど教室のドアを開けた、

涼子だった。



「やったー!じゃあ今日は屋上じゃなくってケンタ!肉!」

「は!?オレお前に奢るとか一言もゆってないし!」


「女に奢るのが男でしょ?」


ねー?
って、涼子が微笑んだ先、


にこにこしている、
涼子と同じくらいの背をした、


一年生。



尚紀くんが、そこにはいた。