「木口とニナってもうすぐ一年?」
「そう、夏休み入ったら一年」
そっか、とうなづいた涼子。
そう言えば涼子も、
もうすぐだった、かな?
一年生と付き合ってる、涼子。
小学生のころから、
ずっと一緒にいた、
幼なじみの尚紀くん。
お嫁さんにするからね、
という
そんな約束を
未だに信じられる涼子が、
純粋に、
ほんとうに、純粋に、
―羨ましかった。
「…尚紀くんは?」
「今日は寝てるって」
「ふーん」
「じゃあ今日はこのメンバーだけ?」
あたしと涼子の会話に、
げー!って声を上げたのは、
タマちゃん。
「やだーちょっとサボってもつまんないじゃんこのメンツ!」
「なに!?その人に失礼な言い方は!じゃあガミババの国語あんた一人で出てなよ!」
「やだぁ!ちょっと、え、うそ!」
もう知らないからね、
って捨て台詞と共に出ていった涼子。
後から追いかけていくのは、
タマちゃん。
始業を知らせるベルに、
あたしは、
ため息をついて、
タマちゃんのカバンと
自分のカバンを握りしめた。