「職業とか、そんなん関係無くなってた。
どうにかして、この子を笑わせたい。
そう、思ったんだ。可笑しな話だろ?」


楠本さんは苦笑する。


びっくり、した。
楠本さんがそんなふうに私のことを見てくれていたなんて、
全く知らなかったから。


「信じてみてよ、俺を。」


そういうと楠本さんは、
私の髪に触れて、笑った。


「はいっ、完成♪」


鏡に映る私は、
今までの私じゃない。


新しい、私。


首もとの涼しさが慣れなくて、
なんだか恥ずかしい。


「別人みたい…」


思わずそう言って、
目を合わせ、2人で笑った。



これからの私は、どんなふうに生きて、どんなうに歩いて行くんだろう。



そんなことはわからないけど、
この胸の高鳴りが、明るい未来を導いてるのは間違いない気がした。



これからも、楠本さんが私の髪に触れるたびに、新しい私が生まれる気がする。



「ありがとう…」


そう呟いて、
肩に降りた楠本さんの手を握った。







―END―