辿り着いた場所は、
真新しいサロン。
まだオープンはしていない。
真っ白な壁に、すっきりとした
でもデザイン性のある鏡。
雰囲気のある置物。
壁に貼られている
いくつもの綺麗な写真たち。
まるで夢の世界のように
キラキラと見る景色全てが
輝いていた。
「楠本さん、ここは…
「ここね、俺が店長として働く新しいサロン。」
―店長…
「店長っ?!」
「そんなに驚かなくても。」
楠本さんは眉を下げて笑った。
だって、だってさ!
「楠本さん、まだ若いじゃないですか!
なのに店長とか…びっくりして…」
「たまたまだよ。運が良かったと、俺も思う。
今働いてるサロンの店長が、俺を推してくれたんだ。
本当に、感謝してる。」
そう言うと、
楠本さんは、まだ誰も座っていないだろうと思われる椅子に腰掛けた。
「それに…」
「それに?」
「菜々ちゃんに会えたこと、ほんとに感謝してる。」
さっきまで伏せていた睫毛を持ち上げ、優しい瞳が私を見た。