雅樹が通りすぎたあと、


すれ違いざまに
何人もの女の子が雅樹を見て


「かっこいいよね。」


口元でわかる。
そう呟いていた。



―かっこいい。


私も、そう思う。


でも、なんでこんなに私は
客観的なの?


雅樹を知ってるのは、
一番傍で感じているのは、


いつも私なのに。



どこか腑に落ちない気持ちで
その場を立ち去った。


その時……





―ブーブーブー…



知らない番号から、
私の携帯へ着信がきた。



それに気をとられて、



私は雅樹の優しさに気付けなかった。


なんて愚かなんだろう…


今頃考えたって、


もう戻らないのに。