「ここ、俺のお気に入りの場所。」


楠本さんは、小道を抜けるなり、素晴らしい景色を見せてくれた。

そこは少し小高になっていて、
街が見下ろせる。


家々の灯りが、まるでイルミネーションのようで


私は思わず


「綺麗…」


ぽつり呟いていた。



バイト先の近くに、こんな場所あったんだ。


「楠本さん、ここら辺詳しいんですか?」


「いや、全然。ただ、この街すごい綺麗じゃない?
だから、なんとなく歩いてたら見つけた。


いいよね、この場所。」


楠本さんは街を見下ろしていた視線を私に向け、


「他の人には、秘密ね。」


悪戯に笑った。