思いがけない来客に、 息を飲んだのは言うまでもない。 「ねぇねぇ、菜々ちゃん。あの人かっこよくない?」 「え、誰ですか?」 「ほらっ、あそこよ!一番右端の席の人!」 バイト先の先輩の篠崎さんが 私の後ろからこそっと耳打ちする。 「右端ー…?」 危うくコーヒーカップを落とすところだった。 ―楠本さん!? そうなんです。 楠本さんが、私のバイト先に現れたのです。