しかし高校に入学してから蒼子は自分が「井の中の蛙」であることを非常に強く認識させられることになる。各地区の中学の上位層が集まる中、最初の試験でパッとした結果が残せなかったことに加え、クラスメイトに生徒会役員や部活動部長経験者・医者や弁護士の娘・帰国子女などの顔ぶれが揃っているという事実が分かってくると、蒼子のやる気はどんどん失せていった。「どうせ私がやらなくても誰かがやるのだ」という意識を持つようになり、全ての事柄が事実その通りになった。中学までは何とか理解できていた数学も徐々に人と差が付くようになり、化学もモルの段階で断念した。しかしできないことを認めるのは蒼子に取って尋常ならざる苦痛であった。