制服のスカートのホックが閉まらなくなったり、買い物に出た時に試着室で履いたパンツがふくらはぎからつっかえて上がらなくなっても、おでこやら脇の下から大量の汗が吹き出してヒヤッとするのはほんの一瞬で、後は何事も無かったように食べ続けるのだった。
蒼子は地名の付いた進学校といわれる女子校に通っていた。中学生の頃の蒼子は、「やりたがり」と陰口を叩かれる程、部活にボランティアに生徒会に、また弁論大会を初めとする各種コンクールに参加したがる生徒だった。仲間外れにされるような酷い苛めを受けることは無かったが、煙たがられていたことは間違いない。何かに参加することで必死で自分の居場所を作ろうとしていたのかもしれなかった。いくら勉強しても1番になれるわけではなく、そうした学業コンプレックスと戦っていたのかもしれない。