熱くて甘い、とけるような時間が終わり、


性欲が満たされると、今度こそ食欲が「エネルギーを」と訴えてくる。



鳴りかけた腹の虫を、気合いで制した。



「夕方料理作ってたなら、夜になって出かけたのか?」



束縛男のように思われるかな。


答えてくれないかと思ったが、シキはさらりと俺の質問に答えた。



「うん。前からお世話になってるジャズバーにね」


「ジャズバー? ジャズ好きなのか」


「好きってゆーか……。たまに、呼ばれるの。あたし、サックスできるから」


「サックス? おまえが?」


「変? けっこう上手いんだよ。って言っても、趣味程度だけどね」



そうか、それであのドレスか。


あのドレス姿でサックスを吹くシキ。



きっと鳥肌が立つくらい、いい女だろうと思った。