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仕事から帰ってきて、アパートの前で自分の部屋を見上げれば、


窓から明かりがもれている。


そんなことがこうも自分を幸福な気持にさせるのだと、


俺は最近ようやく知った。



「おかえり、先生。遅かったね」



ドアを開ければ、向えてくれる声。



「ただいま。腹減った」


「先生はいっつもそれだよね」



玄関で靴を脱ぎながら、俺は笑う。



シキが来る前は、夕食はコンビニ弁当とかカップラーメンとか、


男の一人暮らしにありがちなメニューだった。


だがシキが来てからは、俺の食生活は一変した。


料理なんてとてもしそうには見えなかったのに、シキは意外にも料理上手だった。



おかげで俺は朝もきっちり飯を食うようになり、


昼は出前ではなくお手製の弁当になった。