微笑みをたたえながら演奏する浅倉。


柔らかそうな長い黒髪が、さらさらと揺れる。


その横顔は、やはりシキと重なった。



「……浅倉。変なことを聞いてもいいか?」


「変なこと?」


「浅倉は、兄弟とかいるか? ……たとえば、年の離れた姉とか」



ピタリと演奏が止む。


浅倉はこっちに顔を向けて、小首を傾げた。



「あたし一人っ子だって、前に言いませんでしたっけ?」


「ああ……言ってたっけな」


「姉も妹もいませんよ。でもどうして?」


「いや。……浅倉にお姉さんがいたら、美人だろうなと思ってな」



苦しい俺の言いわけに、浅倉は微妙な表情になる。




「それって、あたしに対する褒め言葉ですか?」




そう言われ、俺は苦笑するしかなかった。












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