「あたしの、です」


「浅倉の……」


「だから、祝ってくださいね」



少し頬を赤くして、浅倉はピアノの前に座った。



7月7日、七夕の日。



ただの偶然に決まっている。


そう思うのに……


運命を、感じてしまった。


俺はいつからそんなロマンチストになったんだ。



7月7日。



その日は、俺の誕生日でもある。




少しの沈黙のあと、浅倉が鍵盤に指を置いた。


流れ始めたのは、クラシックに関しては無知に近い俺でも知っている曲。


ドラマなんかでもよく使われる、ショパンの名曲だ。


名曲っていっても、タイトルは知らないが。