俺はため息をついて、チケットを受け取った。


クラシックのチケットって、いくらくらいするんだ。



「誰に代金渡せばいい?」


「ああ、いいんです。知り合いが安く譲ってくれたものなんで、部費で落としますから」


「相変わらず、しっかりしてるな」


「どうも。……来て、くれます?」


「あー……どうするかな」



行ってもいいが、寝てしまう気がする。


さすがにそれでは、生徒に示しがつかない。



「……誕生日なんです」


「え?」


「そのコンサートの日、誕生日なんですよ」



チケットを見れば、日付は7月7日となっている。


俺は驚いて、浅倉を見上げた。



「誰の誕生日だって?」