他の男の元にはやりたくなくて、彼女を家に連れて行き、
抱いてしまった。
あの夜シキに浅倉を重ねなかったと言ったら、嘘になる。
そして俺は2週間経ったいまも、
浅倉に抱いた感情を、シキにそっくりそのまま向けて、発散しているのだ。
そうやって日々、シキに対する罪悪感と、浅倉に対する罪悪感、
俺はその両方を自分の手で、丹念に育てている。
「実はね、先生」
チケットが、パソコンの画面をさえぎるようにして現れた。
「もう先生の分も、買っちゃったんです」
「おい……」
「えへ。ごめんなさい。でも、どうしても来てほしくって」
屈託なく笑う浅倉。