昔から周りの目には、わりと無関心だった俺が気付いたくらいだ。
気のせいということはまずないのだろう。
困るのは、
浅倉の好意を悪くないと思っている、あきれた自分がいることだ。
俺はいつからか、生徒である浅倉を、意識するようになってしまっていた。
もちろん、浅倉をどうこうしたいわけじゃない。
さすがにそれはまずい。
恋と呼ぶには不完全なもののために、自分の人生を捨てるつもりは当然ない。
だから俺は、浅倉の好意には気付かないふりをして、
自分の中で芽を出しはじめた感情には、気の迷いだと蓋をしてきた。
それなのに……
俺はシキと、出会ってしまった。