「いいじゃん、先生。……ああ、そっか。生徒に呼ばれるみたいでイヤ? そうだよねぇ。生徒を夜中に家に上げるなんて、先生はしちゃダメだもんね」


「いい性格してるな。生徒だなんて図々しいぞ、24のくせに」


「あはは。そりゃそうだ。大丈夫、ベッドの中では呼ばないようにするよ」



先生は、飲んでいたコーヒーを噴きだした。


口元をぬらした先生に、じろりと睨まれて肩をすくめた。



「先生、動揺しすぎ。ベッドの中でも先生って呼んだ方がうれしい?」



あたしは笑いながらカップに口をつけて、


その懐かしい甘さに目を細めた。



先生のくれたインスタントのココアは、


生まれてはじめて与えられた、優しさの味がした。