「じゃあさ、お兄さんの家にあたしを泊めてよ」
「……は?」
あなたはぽかんとあたしを見た。
言われた意味が理解できないのか、固まっていた。
その隙に、あたしはまた、あなたの体にすり寄った。
エサをねだる、猫のように。
「泊まるとこなくて。だめ?」
「……子どもが何を言ってる。家に帰りなさい」
「家なんてないから言ってるんだけど?」
「家が、ない? 家出娘か?」
「あはは! ちがうちがう。ってゆーか、24の女が家出したとしても、家出娘なんて言わないでしょ」
「24だって!?」
「そーだよ。何歳だと思ってたの?」
あなたは腕を組み、無遠慮にじろじろとあたしを見た。