「ねぇ。その浅倉って、お兄さんの彼女?」
「関係ないだろう」
「あ、わかった。お兄さんの片想いなんだ?」
からかうように言った途端、ジロリときつく睨まれた。
ああ、本当にそうなんだ。
落胆してしまった自分が、滑稽でおかしかった。
「ごめん、からかったわけじゃないんだよ。そんなにあたしと似てる?」
「……正直言うとそっくりだ。だが雰囲気がまるで違う。きみの方が年上だろうしな。なんで見間違えたのか、自分でも不思議だ」
やけくそ気味にあなたは言った。
そっくりだけど、まるで違う。
その通りだよと、あたしは心の中でうなずいた。
よくわかってるなと思った。