普段は落ちつきはらっているくせに、


出会った時から意外と純情だったね。



「ふふ。そんなに似てるんだ? あたしと、その浅倉って人」


「……いや。すまない、俺のかん違いだった。呼び止めて悪かったな」


「あっ。ちょっと待ってよ」



あたしの腕からすり抜けて、足早に去ってしまいそうになったあなたを、


あたしは焦って引きとめた。


生まれたばかりの、目的のために。


逃がすわけにはいかなかった。



けれど本当は……


あなたと別れたくなかった。


ただそれだけだったのかもしれない。



いまとなってはもう、自分でもわからないことだけれど。