「……何?この輪っか」

よく見ると、水着のおへその上辺りにゴールドの輪っかが付いている。

「こういうのが当時は流行ってたんだよ。ギンギラな感じで」

「さりげなくないじゃん……」

「そういう時代だったのよね」

「……やな時代だなぁ」

「そんな事ないわよ。お母さん楽しかったもん。ねぇ……どんな時代でも楽しいはずなんだよ、良子」

母は少し寂しそうな声を出す。

良子はしげしげとその『ギンギラハイレグ水着』を眺めると力なく自室に戻った。



朝八時半、しかたなく鉛よりも重い荷物を肩に掛けて、容赦ない日ざしを浴びて駅に向かう良子。

ぐるりと駅前を見渡して、真っ赤な頭がない事を確認してベンチに荷物を置く。

「ヨっちゃーん。こっちだよー」

背中から甲高い声がした。