「……そんな好きなら、玉置君にあげようか?私、プールはちょっと──」

「マ、マジか!?」

「まじでしゅかー?」

(おうッ!?)

良子が声のした方角に目を向けると、玉置の後ろからビーちゃんが笑顔でトタトタ近づいて来るところだった。

「え?あれ?保育園は……?」

「あぁ。アレ、登園拒否」

玉置は目を問題集に向けて伏せたまま、ビーちゃんに聞こえないような小さな声でボソボソと続ける。

「フン。……あいつ、友達に『混血』って呼ばれて笑われたんだと──」

「こ……こ、んけつ?混血……?」

「そう。ハーフの『混血』」

「はぁ?時代錯誤も甚だしくない?」