買ったばかりの淡いブルーの本は、俺様イケメン男と同居する美少女のお話。

つまり俺様な妻夫木と同居って事だ。

瞬時に妄想が広がっていく。

(あぁ……。心臓止まる、絶対)

良子はうっとりと宙を見つめて小さく息を吐くと、また本に視線を戻した。

物語の中では主人公の女の子が『ヤダヤダ』言いながらも、しだいに俺様男子に惹かれていく。

(この過程が胸キュンなんだよね~)

良子の胸は高鳴り、読む速度も一気に加速する。

『で、いつが暇なんだ?』

(……んん?)

ブッ!!

良子の口から噴き出されたラーメンの汁は見事に新品の本を直撃した。