「……す、すすすす」

「すすすす?玉置君?大丈夫……?」

「す、好きな子がッ!」

(好きな子!?ええええええ~!?)

予想外のセリフに良子は無関心を装ったが、内心はバックンバックンだった。

人の恋愛事情をまさか生で聞けるとは思っていなかった良子なだけに、胸は必要以上に高鳴る。

「……う、うん」

ゴクリと唾を飲み込んだ音が、玉置に聞こえなかった事を心の片隅で願う。

「一緒の大学に行けたらいいねって……言ったからだよ、バカ野郎!!」

さっきの自分より明らかに真っ赤な玉置を見て、呆気にとられてしまった。

「……あ。あ、そうなんだ?」

「そうだよ!!なんか文句あっか?」

(ないよ。なんで文句あるんだよ。ってか誰だ、この純情ボーイは?)

良子はマジマジと目の前の茹でダコのような玉置を眺める。