「テッペーチャンヲタノムヨ。ヨッチャン」

「は……はいッ」

(ああああ……)

実のところ玉置を頼みたいのは良子の方である。

『息子さんに脅されてここにいますよ!?今救ってくれたら被害は小さくて済みますよ?』と声を大にして言いたいは良子である。

さっきまでの妄想玉置君お母さんがガラガラと音を立てて崩れ去っていった。

「よろしく頼むよ」

「う、うん」

玉置にまでよろしく頼まれて、良子は山のような問題集と参考書をげんなりと眺めた。

「玉置君、これ全部やる気なの?」

「はぁ!?んなわけねぇだろ。普通に考えてこんなん夏休みに終わる量じゃねぇだろ?」

(……分かってんじゃねぇか、この野郎!!じゃこんなにいらねぇじゃねぇかッ!)

とはもちろん言えない良子は

「じゃ、こんなにいらないよね、本……」

と答えた。

「だーかーらー、ヨッちゃんが良さ気なヤツを捜してくれよ」