「コレ、ヨッチャンカ?」

(ええ、一応コレ……ヨッちゃんですが?)

あまりの事に声も出ない良子。

「そう。ヨッちゃんだよ。テレさん」

と、カウンターの中の冷蔵庫をいじりながら玉置が良子の代わりに答えた。

……誰?

テレ……誰?

振り返った良子の視線の先には黄色いアジアンテイストなシャツにジーンズを履いた小麦色の中年女性がいた。

(イントネーション、完全に日本語ネイティブじゃないじゃん。ついでに見かけも……)

パニックな良子に玉置はまるでお天気の話でもするかのテンションで答えた。

「あ、言ってなかったっけ?あれが俺の母さん。オヤジの再婚相手」

「ソウソウ。テレトヨンデネー。ヨロシクゥ」

聞いてねぇ!という言葉の代わりに引きつった笑顔を作った良子は

「あ……こちらこそ。よろしくお願いします」

と、頭を下げた。