自転車の前まで来ると、玉置は良子をギロッと見据えた。

「絶対誰にも言うなよッ!」

「はいぃぃ……」

「言ったら──」

……私、殺されるんだよね?と半泣きの良子。

「言ったら、お前のラブ・ポエムをバラす……」

(ん?え?なななな……なにぃぃ?あれか!?)

良子が小学生の時に書いていた【ラブ・ポエム】。

良子の妄想の始まりは何を隠そうこの【ラブ・ポエム】であり、これを『バラす』なんてある意味『殺す』と同じ事である。

(あれはヤバい。結構ヤバい。ってかアレを覚えているって事か!?)

よくよく思い返せば、小学生の時も玉置にそれをネタに脅された記憶が。

「分かったなッ!」

「わ、分かったよぅ」

(私ってどうしていつまでもそんなにのび太なんだよぅ。玉置君もどうしていつもでもそんなにジャイアンなんだよぅ)

良子は小学生の時と同じネタで脅される自分が何より情けなかった。