「おお。忘れ物の……水着でちゅよ~」

(で……?ででででで……『でちゅよ~』ぉぉ!?)

目を丸くする良子の二メートル先で兄妹の会話は軽快に進んでいく。

「ありがとう、おにいちゃん」

「どういたまちて~。バイバイキーン」

「バイバイキーン」

(ぬぉぉぉぉ~!?……なんだこれ?)

既に仮死状態の良子なんてお構いなしの兄妹はお互いにニッコリして手を振り合い、

振り向いた玉置はあんぐり口を開けたまま固まっている良子に初めて気付く。

「が!?がぁぁぁぁ?な、なななななんで、いるんだっ!?ぐぉぉぉぉ~」

焦った玉置は叫びながら良子の手を掴むと自転車まで走った。