「もう暴れんなよ。迷惑だ」

「は、はいッ」

再び乗った自転車はキコキコからギコギコに音を変えて走る。

なんだよ偉そうに、と良子は玉置の広い背中を睨む。

そうだ。

(よく考えたら、立ち漕ぎした玉置君にだってちょっとは責任あるじゃん!?)

だいたい二人乗りの記憶なんて、ほとんどない。

あったとしても幼少の頃の母との二人乗りの記憶だ。

(だから乗り方が分かんないんだよぅ!)

文句と少しの哀愁が良子の胸に漂った頃、自転車は保育園の前で止まった。