場違いなのは承知の上で良子はちょっとだけ玉置を睨んだ。

(『貞操の危機』の可能性はキッパリゼロなわけ?ナンパの確率は?)

なんだか、どこか不本意である。

また少し自分の容姿に自信を失いながらも、背に腹は代えられないと、自転車から降りてくる玉置に良子はブンブンと首を縦に振った。

「ふーん。……ヨッちゃんのためだもんなぁ」

玉置がポキポキと指を鳴らし、見たこともないような不敵な笑顔を浮かべた。