キキーッという自転車独特のブレーキ音が響き、一度通過した玉置と自転車がバックして視界に戻って来た。

そして自転車は方向転換し、良子達の方へキコキコ向かってくる。

「あれー?なにしてんだぁ?」

と言う玉置ののんきな声にそわそわし出す黄色と灰色。

「え……。まさか……。西高の玉置じゃね?あれ、炎の玉置じゃね?」

と黄色。

「え……マジ?それは……やべぇだろ。マジかよ!?」

と灰色。

(ほ、炎の?玉置ィィ?)

ネーミングセンスがゼロを通り越してマイナスである。

そしてオドオドし出した黄色と灰色を一瞥した玉置が、目を丸くする。

「え?……ヨッちゃんまさかカツアゲされてんの?」

(……なぜ玉置君まで、カツアゲだと思っちゃうわけ?)