それから約20分後──

『ちょ、ちょっとぉ、泣いてるじゃん、あの人ッ!ヤンキーなのに!!』

と明美が良子にだけ聞こえるような小さな驚きの声を上げた。

『シッ!泣いてるって言うと怒るからッ』

良子が小声で明美をたしなめる。

二人の目の前には玉置の担任教師の谷口とズビズビ言う玉置が椅子に座っている。

「──という事は、玉置は手を出していないんだな?先に手を出したのは──」

「「ナルセ!」」

谷口の質問に、良子と明美の声が見事にハモった。

「……そうか。まぁ、反省文は書いてもらうとして……彼女達に免じてとりあえずは今回は処分保留かぁ……」

「マ、マジで?」

ガバッと顔を上げた玉置の目から大粒の涙がポロポロと流れた。

「あんなに必死に説明されたら……信じなきゃ彼女達に悪いだろ?この二人、学校から飛び出してきちゃったんだろ?」

苦笑いをして谷口は続ける。