「あったよ、あったよ!相澤さん!」

「う、うん……」

(でも──)

鉄のドアを前にして、急に足が動かなくなってしまった良子。

勢いでここまで来たけど。

(こんな事していいのかな?)

よく考えてみれば、玉置が退学かなんて実際はまだ分からないのに。

確かに古田の話っぷりからは玉置には何らかの処分が下るようだったが。

(でも……。どうしよう……)

そんな心細くなった良子の背中をトンっと押したのは明美だった。

「フリーダム・ライド……なんでしょ?今頑張らなきゃ。そのために来たんでしょ?」

明美がニッと笑う。

(あ……そうだ。そうだった……ね)

「ほらッ」

差し出された頼もしく見える明美の右手を握って良子はモスグリーンの鉄の扉を開けた。