全力で走り抜ける良子と明美をカラフルな頭達が、お決まりのヤンキー座りで首を振り振り見上げる。

(柄悪ッ!)

どんな赤ベコだってそんな上手に首を上下には振れないだろう。

あえて言えば『赤』ベコじゃなくて『金』ベコだったり『アッシュブラウン』ベコだったり『ブルーメッシュ』ベコだったり『茶髪ロン毛』ベコだったりするが。

(私はやっぱり『赤』がいいなぁ。あ、『赤』ベコは今ピンチか……。)

良子は急に玉置の赤頭を懐かしく感じた。

「……ああ!もうどこなの!」

良子を引っ張りながら明美はズンズン校舎を突き進み、一階を見渡し階段を駆け昇る。

(明美姐さん、本当に命しらず……)

カラフルベコにビビる良子とは対照的に、明美は冷静だ。

二階に上がり、『きっと職員室の傍のはずよ』という明美の意見を頼りにまずは職員室を探す。

「あったぁ!職員室。ってことは──」

明美が叫んで走り出した。

そしてついに二階の一番奥のモスグリーンのドアに『生徒進路指導室』というプレートが架かっているのを発見した。