怯える良子と『ん~』と小さく唸る明美を、煙草をくわえたカラフルヤンキーが遠慮もなく凝視している。

そのカラフルの後ろには、スプレーの下品過ぎるこれまたカラフルな落書き。

(…………ふッ。やっぱヤンキー校)

怖過ぎて笑ってしまう。

『落書き禁止』

そんな紙の張られたベニヤ板が彼らの足元に転がっていた。

「やっぱ……走り抜けるしかないね」

明美が良子の手をガッチリと握る。

「う……うん」

「行くよッ!せーのッ!」

(ぎゃ~、さすが元陸上部!)

明美に手を引かれて、もつれそうな足を必死で動かした。