「あれが、西校だよ」

「う、うん」

近づいてくる校舎は想像していたよりも普通。

もっと殺伐とした感じかと思っていた良子は少しだけ安心した。



「……さ、行こう」

自転車を学校の裏門に停めた明美がスタスタと歩き出す。

「うわッ、ちょ、ちょっと待ってよぉ!」

(あの人、絶対に強者だ)

良子はそんな事を思いながらその背中を追った。

そして

「……あ。どうしよ?アレ──」

と明美が良子を振り返る。

よく見れば日陰になっている昇降口にはカラフルな頭が並んでいる。

なぜかこんな時間に昇降口にたむろしているヤンキー達。

(HRとか、ないの……?)