「シンネ……なんで?なんで今さらこんな事すんの?」

「あ?ただ、気が変わったんだよ。あれ……あのメガネ男が西校の玉置だったなんてなぁ。ナルセが夏季講習の帰り道、偶然見たんだとよ、お前と赤頭が藪に入って行くの。まさか相澤に二人も男がいるわけねぇしな」

「……げッ」

(だから、保育園を覗くのなんて止めようって私言ったんだよぅ!)

シンネは目を泳がす良子の反応に満足そうに続ける。

「で、玉置って留年してもうすぐ退学なんだろ?どうせ今、肩で風切ってヤンキーだって威張りくさっててもよ、所詮社会に出れば『社会の底辺』って奴だろ。いいトコ、肉体労働者ね」

(ああ、こいつの脳ミソにブレーンバスター!)

良子の願いは当然のごとく届かず、シンネが意気揚々と続ける。

「だから、早く底辺にしてあげようと思ってさ。人の名前笑いやがった玉置君には……退学になってもらおうって思っちゃったんだよなぁ」

(なんて歪んだ性格してんだ、名前めでたいくせに)

呆れてしまう。