原稿用紙を掴んで良子は迷わず屋上へ続く階段をガンガン昇った。

屋上への扉を開けるとそこには良子の想像通りの人物が二人、緑色のフェンスに寄りかかっていた。

「……なんだよ、鉄パンツ。あ、もしかして学校謹慎?」

わざとらしいナルセの声色に、頭がカッと熱くなる。

「これッ!!あんたが反省して書きなッ」

良子が丸めて渾身の力で投げた原稿用紙ボールはヒョロヨロ~と風に乗り、シンネの足元に転がった。

グシャ……

そんな音をたてていとも簡単に原稿用紙ボールはシンネの上履きの下敷きになってしまった。

まるでそれが自分の分身のようで、良子の心に鈍い痛みが生まれる。