しばらくすると涙もすっかりと元の場所に引いていき、窓からの風が良子の額の汗をさらっていく。

カーテンが風で揺れるたびに、良子の閉じた瞼の中は明るくなったり暗くなったり。

(結構気持ちいいかも。嫌な時は寝るに限るし──)

良子が意識を手放そうとした瞬間、カサコソと音がして良子は重たい瞼を僅かに持ち上げた。

原稿用紙が風で揺れている。

(……反省だけなら猿でもできる。なんちゃって──)

「ん?ん?ああ!?」

良子はガバッと勢い良く頭を持ち上げた。

「そうだよ!!反省だろ。あの猿こそ反省だろうがッ!」

(玉置君。仇討ちとまではいかないだろうけど……)

このままじゃ、あんまりだと良子は拳を握った。