ドアノブに手をかけた古田が『あッ』と振り向き、原稿用紙をパサッと机に置く。

「新年が『相澤も夢中でやっちゃっただけだから、なにも咎めないでくれ』って言ってたけど、そう言う訳にはいかないからさ。とりあえず、今日は学校謹慎な。あとで謹慎室に移すから、午後のテストはそこで受けて貰うよ。んで、それまではここで反省文でも書いてて。俺、始業式行って来るから、あとよろしく」

パタン……。

ドアが閉まると良子は急に寂しくなった。

小さな教室に一人取り残されて。

「反省文?」

(反省?私が?)

「しないだろッ!!」

バサッ!ガンッ!

原稿用紙を机から落として、勢いよく突っ伏した良子の額は見事に机に激突した。

「……痛い」

額よりも胸の奥深くが痛い。

(ふん。謹慎室って……どこさ?)

溢れそうな涙をこらえて、良子はそっと目を閉じた。