「あのなぁ、全員、新年、成瀬、小林、横田……。見てた生徒が先に手を出したのは玉置だと言ってるんだ。しかも関谷先生が西校側には連絡を入れていて、さっき折り返し電話があってな、本人もそれを認めてるらしいぞ?だから相澤もかばう必要はないんだぞ?」

「…………」

(この脳ミソ筋肉め。誘導尋問か?いや──)

玉置の記憶がどっかでおかしくなったのか?

はたまた玉置にはよく理解の出来ない難しい言語で自白を強要したのか?

はたまたお人よしな玉置が『ヨッちゃんに迷惑かも』とか思って適当に罪被ろうと思っているのか?

良子に思い付く理由はこんなモノである。

そして……

(バカだね…)

良子にははっきりと答えが分かってしまった。

一緒に過ごした時間があるから。

(玉置キュン……。アンタ関係ないじゃんよぉぉぉ)

玉置が良子の罪を被っているという事実に、玉置が守ろうとしているという事実に、

良子の胸が経験したことない程にズキンズキンと痛んだ。


「じゃ、相澤はここで式終わるまで待機な。一応あんな事があったから、相澤は学校謹慎だから」

古田が椅子から立ち上がる。