「センセ?先に手を出したのは成瀬です。玉置君は手を出してなんかいません」

出そうとしてたけれど、テレさんのメガネのお陰で当たんなかったんだから……これは事実だ。

(ちょっと卑怯かもしれないけど、アイツらの卑怯よりはまっとうな卑怯だ!)

良子が真っ直ぐに見つめ返した先の古田はなぜか不思議そうな顔をする。

「……なんか……相澤ってそんな表情するんだなぁ」

「はい?」

「いつも人を遠ざけるようなキツイ顔ばっかりしてるから、そんな顔もするのかと思って」

(体育教師って空気読まない)

妙に感慨深い顔をしている古田を良子はイライラして睨み返した。

「そんなことはどうでもいーから!!」