良子の敗北感は小さな怒りに変わっていく。

今、この古田の親父サンダルを思いっきり踏んづけたらどんなに気持ちいいだろうか……と良子は視線をサンダルに移した。

「間違いないか?」

古田が親父サンダルをスッと自分の方へ引き寄せながら続ける。

(チッ)

「やっぱりそうなんだな。実はさっき新年と成瀬と小林と横田にも、簡単に話は聞いた。玉置鉄平が先に手を出して……それで恐かったから傍にあったパイプ椅子を振り回したら当たってしまって。なぜか逆上した相澤にパイプ椅子で殴られた。玉置鉄平が恐いから今まで黙っていた。と、簡単に言えばこういう話だよな」

(……アイツら嘘のデパートだ、百貨店だッ!!)

良子のあんぐり開いたままの口を見て古田が苦笑いをする。

「……人を殴っちゃダメだろ?悪事はこうしてバレるんだぞ」

(……そこですか?って言うか、センセ節穴すぎません?体育教師だと思ってナメめられてんじゃぁござーません?)

自分が古田をナメている事は棚にあげまくっている良子である。