(これはある意味賭けだな……)

人生たまには度胸だ。

それから

人生はタイミングだ。

良子は覚悟を決めてアドレス帳から『た』を選んでボタンを押した。

ドキドキを越えて心臓がバックンバックンと口から出てきそうに感じる。

そして……

『──は、お客様のご都合により只今──』

電話の向こう側から感情のないお姉さんのアナウンスが繰り返し流れる。



(……玉置君、サイテー)

人生はタイミング。

「ああ、もう~!」

良子はガックリと頭を垂れた。