(玉置君、今ごろ何してんだろうなぁ)

あと少し時間がたったら、またあんな気持ちにならないで会えるのか。

もう少ししたら『なんかあったら』が寂しく聞こえなくなるのか。

答えは霧の中である。

でも一つ確実なのは

あの時、やっぱり壁のない友達付き合いは恐いと思った事だ。


「でも……楽しかったなぁ」

夕焼けの赤を見ながら良子の口元が自然と緩む。


玉置との勉強会の日々は今までのどの夏休みよりもワクワクでハラハラでドキドキで。

玉置の暑中見舞いメールも、テレさんのコバヤシも、照れると眉間にシワがよる玉置の恋バナも、そしてパイプ椅子でシンネを殴った事も……

感情が揺すぶられっぱなしの毎日は確かに痛快だった。