「なーんだ」

ガガンからの帰り道、良子は星を見上げて気持ちをそのまま声に出してみた。

ガガンに来た時とはまるで違う気持ちを抱えて帰路についていた。

「なーんだ。なーんだ。なーんだ」

(なーんだ。そんなモンだったのか、私と玉置君)

『そんなモン』の定義がいまいち分からないが

こんなにいとも簡単に終わってしまった勉強会に明らかに良子はがっかりしていた。

そして玉置との関係が自分が思っていたよりもあっさりしていた事に良子はショックを受けていた。

そんな良子の胸を貫くような痛みが何年か振りに蘇る。

(またか……)

あの時も痛みの始まりはとても些細な事だった。

(『なんかあったら』ってどういう意味?)