しかし玉置がそんなかもし出す程度の雰囲気に気づくわけもなく。

「あ?ああ。だって意味ねーもん。元々リエちゃんに言われてその気になっただけだし」

「あ……そうか」

そう言われればそうである。

だけど

(このがっかり感、なに?)

「……そうだね。うん。わかったよ」

良子は心の小さな動揺を隠すように一瞬目を伏せた。

「ヨッちゃんも受験勉強に本腰入れろよ、そろそろ。いつも携帯小説読んでるしよ。お前、勉強してっか?ちょっと心配してるぞ、俺──」

床から視線を上げた良子と玉置の視線が絡み合う。

意外にも玉置は真顔だ。

「──マジで」

(…………ふッ。玉置君に心配されちゃったよ……)

なぜか情けない気分だった。

玉置の悪気のない真顔が余計に良子を情けない気分にしていった。