(……ふッ。玉置君らしいなぁ)

やっぱり玉置は『玉置キュン』にはならなくて。

良子は苦笑した。

玉置はそんな良子にはまるで気づかず、また遠くを見るような目で続ける。

「今年の夏休みは……ヨッちゃんにも迷惑かけたよなぁ。結構ヨッちゃんと勉強するのも楽しかったけど。あ……、明日からはヨッちゃんも自分の勉強に専念しろよ。俺、もういいからさ」

玉置のサッパリした言い様に、

勉強会の突然の終わりに、良子は心底驚いていた。

「……え?迷惑?って言うか勉強会もうやめちゃうの?」

そしてこんな事を口走った自分にびっくりする。

(──私、なに『残念』的な空気かもし出してんだ?)